原作や翻訳の研究

はじめに
 私の家なき娘(少女)を知ったきっかけ

登場人物名比較表
 各翻訳、抄訳では人物名に差異があります。外国語をカナ表記する時の差ですが、フランス語原作と違って変な読み方をしているのもあります。(例:パリンヌとかウルフランとか、ペリイヌ)
 日本最古の翻訳である、五来素川氏訳「雛燕」に至っては、人物名が完全に日本人の名前になっているようです。

固有名詞・数詞・用語比較
 各翻訳、抄訳では固有名詞や用語にも差異があります。フランス語を意訳したり音訳したりいろいろです。
 また、繊維機械の用語等で非専門家が翻訳している関係上誤訳もあります。
 そのほか、数値に関しても違いが結構あります。どこで変更されたのかわからない数値や、各翻訳で同じ数になっているというものもあります。
 フランス語の原作との比較でも誤訳も結構有るようです。

ストーリー比較(章の比較表
 完訳版の岩波版および偕成社版を参考に他の翻訳を読み比べると、ページ数の関係か、子ども向けのために変更したか、文化の違いを考えたためか、省略されている話、付け加えられた話、があります。
日本語訳の場合、翻訳元となった底本や参考にされた訳などの影響が後の翻訳に残っている可能性も大です。
小学館版のおのちゅうこうさんの様に、津田訳をリライトしたという様に正直に書いているものはありますが、そういう記述の無いものもあり、ちょっと残念な気もします。
いくつかの前書きによると、日本の子供にわかりにくい記述は直した旨が書かれている場合があります。
英語版のNobody's Girlも省略が結構あります。フランス語から日本語に訳さず、この英訳からの重訳本が多く、御者の名前がウイリアムとなっているのは、まず英語からの重訳と考えても差し支えないでしょう。
(英訳本としては、Nobody's Girl以外に、Adventure of Perrine というのが有ります。この度入手された方からの情報からいうとかなり原作準拠度が高いので、それから推測すると、翻訳の原本として、後日談の加筆されたもう一つ英語の抄訳本がありそうです。)
二宮フサ氏が自由な抄訳と言っているのは、ほとんど英語版からの翻訳でしょう。
水島あやめさんの訳もかなり手を加えている可能性があります。ただアニメの原作以上に手を入れた城夏子さんの様な画期的な翻案とはまるで違い、組み立て直したり、訳出元原文の筋を改変しているのはあまり見られません。
イタリア語版の抄訳(全16章)は
http://hinomaru.megane.it/Cartoni/Peline/
で全文が読めます。
アニメのペリーヌ物語の企画案では、テレパシーで会話できるパリカールなどかなり城夏子さんの抄訳の創作部分に影響を受けたものも有ったようですが、放映時点では、岩波の完訳本ベースに修正されています。そのあたりは、ペリーヌを担当した宮崎晃さんの記述にいろいろ見られます。

確認している原作や翻訳翻案
アニメペリーヌ物語放映以前のものを主としてチェックしています。
放映後の抄訳本は結構アニメに影響されたようです。
1979年以降の新訳本も徐々に調査範囲に加えていきます。
一番古い原作の邦訳は 五来素川氏の雛燕(ひなつばめ)で、婦人之友社から出た「新少女」という雑誌に連載後、単行本化されています。木葉さんが調べてきた結果はここにあります。
抄訳のパターンとして、前半は、原作通りパリへの入市からスタートするもの、ギヨ園から始まるものの二別。
後半は、原作通り以外に、エドモンの死とペリーヌの正体が一度に分かる話のもの、その後日談で、原作にないペリーヌの誕生日にロザリーへ招待状を出すくだりのあるもの。


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