はじめに


私がこのストーリーへ初めて接したのは、日本アニメーション製作のペリーヌ物語である。
このアニメのペリーヌ物語は、ご厚意で原企画書を知る機会が有った。
その内容を見ると、初期の企画段階では完訳本を入手していなかったようである。
各種市販の抄訳を読み、この企画書が書かれた気配がある。特に翻案のポプラ社のたのしい名作童話「家なき少女」のような、「パリカールの言葉がわかるペリーヌ」などのおもしろい設定がある。
その後、数多くの過去の出版を参考にすすめられ、最終的に岩波版の完訳を入手したということである。
放映当時、書店で原作を探したのであるが、「エクトル・マロー作 アンファーミュ より」としか表記のないアニメのタイトルから、原作に行き当たることが出来ず、「ペリーヌ物語」の題名の朝日ソノラマの絵本などを読むぐらいしか出来なかった。
結果として、ネタバレせずに「ペリーヌ物語」を楽しめたことは、既に大体のお話を知って見ていた、「フランダースの犬」や「赤毛のアン」と比べ、非常にすばらしい感動を得られ、大変幸せなことであった。
もし、アニメの「ペリーヌ物語」を楽しもうというのであるのなら、抄訳やこのページやペリーヌ物語関連のサイトにある、ストーリーのあらましなどを一切見ず、先ずアニメを53話しっかり見るべきである。
また、私と違うアプローチである、偕成社完訳版の「家なき娘」を、アニメの「ペリーヌ物語」を一切見ずに通読される方がおれば、読後の感想を教えて欲しいと思う。
そしてあらためてアニメを53話通して視聴していただき、アニメをどう見たかの感想を聞かせていただきたいと思う。

私は、アニメを見た後、「家なき娘」という題で手元の児童文学全集に「家なき子」と一緒に載っていたことが分かったのであるが、VTRの無かった時代である。あらためてその抄訳の「家なき娘」を読み、TVの該当のシーンを思い出し、感動を受けた。
その本になく、アニメオリジナルか?と感じたお話も多々あった。名作「母をたずねて三千里」の事もあり、オリジナルのエピソードでふくらませたのだろうと感じたところ(前半を付け加えたというのは有名であったからであるが)も有った。
しかし、岩波版や偕成社版の完訳本を入手することが出来、それまで読んだ訳が如何に抄訳であったかが分かり、アニメは意外と、この原作に忠実なエピソードや台詞、またはオリジナルの旅の編でさえ、その後のお話に合わせた伏線が張って有ったことを発見した。
あらためて名作劇場が特番でつぶれなかった時代の日本アニメーションのスタッフのすごさを感じたのである。

そして、完訳と抄訳や翻案とアニメを比べるうち、アニメのペリーヌ物語が、抄訳や翻案を参考にしつつ、有る意味原作を越えたバランスの高い作品になっていると感じた。
ぜひ、DVDなりレンタルビデオなりで、全53話通して御視聴されることをお薦めする。

また、このページに掲載させてもらった原作の数々を読めば、多くの文学者が何度も紹介し、大切にした作品か分かると思う。ただ同じエクトル・マロー作で「家なき子」があり、題名的に二番煎じに感じられてしまい、文学全集に載るときに省略される傾向にあるのがメジャーにならなかった理由かも知れない。「なつかしの故郷」「ああ故郷」などという邦題を付けた翻訳があるが、もっと良い邦題があれば良いのにと思う。


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